1.研究の目的 本研究の目的は、訪問リハビリテーション(訪問リハ)利用者を対象に、医療におけるリハビリテーション終了から訪問リハ開始までの日数と、その後の介護度の変化について縦断調査することにより、医療から介護に至るリハビリテーションの提供に費やす時間が介護度の変化に及ぼす影響を明らかにすることである。 2.対象者(対象施設)の選定 大阪府下の訪問看護ステーション全304施設、および大阪府理学療法士会所属の医療機関全536施設に対して、訪問看護7(訪問看護ステーションから実施される訪問リハ)と「訪問リハビリテーション」に携わる理学療法士(PT)、作業療法士(OT)の人数を郵送調査により把握した。PT、OTが訪問看護7および「訪問リハビリテーション」に従事している施設は147であり、このうち調査協力が可能な施設は105施設であった。 3.対象者(調査対象者)の決定 上記施設から調査の承諾が得られ、かつ新規に訪問リハを開始した者は75名であった。 4.評価の時期および項目 調査対象75名のうち、初回評価ならびに半年後の再評価が実施できた者は26名であった。評価項目は訪問リハ開始までの期間、およびPT、OTが行う介護認定基本調査であり、訪問リハ開始までの期間と「食事」「排泄」「移動」「清潔保持」などから成る要介護基準時間の変化との関連性について分析した。 5.結果と考察 訪問リハ開始までの期間を「1か月未満」「1か月以上」に2区分し、区分間で基準時間の変化(差分)について、その平均値を比較すると、「移動」はそれぞれ-0.36分、1.40分、「合計時間」は0.86分、2.23分であり、リハ開始までの期間が「1か月未満」の方が基準時間の増加が少ない傾向を示した。 今後は、コホートの設定時期を半年間延長して対象者数の確保に努めると共に、疾病や合併症などの補正要因を加えて結果の実証作業を進めていく。
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