研究概要 |
高齢者人口割合の増加は,特に先進諸国で深刻な問題となっており,長さとしての寿命ばかりではなく,質としての寿命に関心が集まっている。本研究は,健康な中高年齢者を対象として「健康体操教室」を実施し,身体形態計測,体力測定,心理学的検査,神経生理学的検査および行動量調査を定期的に測定し,対象者の健康の総合的評価を行い,最終的には1年間を通じた変動について評価を行う予定である。 指導者および会場の都合上,当初25名を募集し,うち2名は健康上の理由から最初の測定時に参加を中止した。また,1名は2回目測定時以降に整形外科的理由により中止し,1名は要精密検査で休止中のため,現在21名が継続中で,3回目の測定が終了している。その結果,身体形態計測では,左右の大腿周囲が測定回数毎に増加した。体力測定では,握力および10m障害物歩行の数値が改善した。心理学的検査は,精神的健康度検査としてGHQ30および生活の質検査としてWHOのQOL26を実施したが,有意な変化は認められなかった。しかし,GHQ30では,睡眠障害を表す項目で中等度以上の症状を示した者が30%おり,中高年齢者において睡眠障害を有する者が多いことを示唆する結果となった。また,積雪地域のため,冬期間の活動量が低下する傾向が認められた。次年度にはさらに定期的測定として2回の測定を予定しており,次回の測定で測定開始時より1年後までの結果が揃う予定であるが,昨今の大雪による冬期間の参加者の減少や参加者が中高年齢者であるために健康上の問題が生じることが多く,継続測定の困難といった状況に直面している。
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