研究課題
1.瞳孔径変動が眠気・疲労蓄積の客観的評価の指標となりうるかを検討する一環として、他覚的な眠気診断検査法として用いられているTwo Nap Sleep Test(以下、TNST)測定値と瞳孔径変動指標との関連を検討した。対象は愛知医科大学病院睡眠医療センターの外来を過眠症の疑いで検査に訪れた15歳〜65歳までの48名(男性38名平均年齢40.2±12.6歳、女性10名平均年齢40.6±17.7歳)とした。対象者には、事前に前日の睡眠時間を聴取するとともに、エプワース睡眠尺度(ESS)による眠気測定を行った上、AMTech社製F2Dを使用し、座位安静時の瞳孔径を11分間測定した。瞳孔径の指標として11分間の瞳孔径の平均値、Pupillary Unrest Index(PUI)を用いた。ひき続いてTNSTにより睡眠潜時を測定した(日本光電社製neurofax1518)。TNSTにおける睡眠潜時は、脳波上、後頭部優位に出現するα波の継続が1エポック内50%以下になった時点およびEMG、EOGを参照して入眠と判定し、算出した。TNSTを同一人について2回実施し、その平均値と瞳孔指標との関連を検討した。結果として、瞳孔径変動の指標としてのPUIは睡眠潜時と優位な負の相関を示し(p<0.03)、眠気の指標として有用であることが示された。2.瞬目による瞳孔径の欠損を予測補間する手法を用いて、瞬目による影響を検討した。その結果、瞬目の影響を考慮しない場合は、PUI値が予測補間した場合よりも大きい上、瞬目数との相関も顕著であった。また、時系列的な分析を行ったところ、測定開始時においては眠気の主観評価値が高い被験者群ではPUI値がより高く、瞬目数との相関もより高かった。経過時間による変化を調べたところ、瞬目との関係が変化することがわかったが、その原因として眠気の主観評価値が高い被験者群では、瞬目数そのものや被験者間の分散が大きくなるためであることを明らかにした。
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Industrial Health 45
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Ninth International Congress of Behavioral Medicine Abstract
平成18年度日本産業衛生学会東海地方会学会講演集
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