研究概要 |
長野県佐久地区の住民約28,000人の循環器疾患(急性心筋梗塞、くも膜下出血)・ホルモン関連がん(乳がん、前立腺がん、甲状腺がん)罹患者の病理組織像、確定診断方法、手術の有無等の情報を含む各医療機関のカルテ情報により詳細に確認を行い、平成15年12月末まで罹患データセットの作成を完了した。最終的に罹患データセットが作成できた罹患者は急性心筋梗塞203人、くも膜下出血88人、乳がん220人、前立腺がん163人、甲状腺がん134人であった。 このデータセットを用いて、ベースライン時における日常生活習慣、嗜好、食品摂取頻度、既往歴、家族歴等の問診項目と疾病罹患の関連を性・年齢調整したハザード比にて検討した。 急性心筋梗塞罹患では一日の喫煙本数が多いもの、糖尿病既往歴のあるもののリスクが有意に高値を示し、肝臓病既往歴のあるもの、高塩食品が好きなもの、牛乳を飲むもののリスクが減少していた。くも膜下出血罹患では一日の喫煙本数が多いもの、肝臓病既往歴のあるもの、高塩食品が好きなもののリスクが高く、教育期間の長いもの、BMIの高いもの、高脂肪食品を好むもののリスクが低かった。ホルモン関連がんでは、前立腺がん罹患が喫煙習慣のあるもの、一日の喫煙本数が多いもの、緑茶飲用の多いもののリスクが高く、乳がん罹患では緑茶飲用の多いもののリスクが高く、高塩食品が好きなもの、コーヒー飲用頻度の高いもののリスクが低く、甲状腺がん罹患では運動習慣のあるもののリスクが高く、喫煙本数の多いもののリスクが低かった。飲酒習慣についてはこれら要因との関連はいずれも認められなかった。
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