研究課題
本研究は、医療と雇用の両分野の政策が関わる労働衛生分野において、労働者の健康情報の保護と活用の均衡を図るための指針を示すことを目的とした。平成17年度は、日本産業衛生学会指導医・専門医や事業場の看護職等を対象とした調査を実施して、労働者の健康情報の取扱いにおける課題を類型化した。平成18年度は、これらの課題に加えて平成18年度に施行された医師による長時間労働者の面接指導で生じる健康情報の取扱いにおいて、労働者の同意の取得方法、事業者が取扱うべき健康情報の範囲、衛生管理者の関与などについて、日本産業衛生学会産業医部会会員(245人/648人、回答数/発送数、以下同じ)、地域産業保健センター51ヵ所の登録医(151人/255人)、衛生管理者協議会会員(721人/2059人)、労働組合安全衛生担当者(39人/144人)などを対象とした調査を追加した。その結果、産業医が非常勤の場合には、衛生管理者が健康情報の取扱いに関与することへの期待が大きいこと、安全配慮義務のある事業者が活用すべき健康情報として「血圧」(24%)や「血糖値」(10%)が重要と考えられていること、健康情報の保護を優先すべき項目には回答者による差が大きいことなどが明らかとなった。また、労働者の健康情報の取得、保管、利用、提供などに関するさまざまな現場の事例が報告された。これらの調査結果に基づいて、個人情報の専門家などで構成する研究班を構成して討議を行い、その結果に基づいて、事業場における労働者の健康情報の適切な保護と活用に役立てる指針として、具体的なアクションプランをまとめた小冊子「職場と健康情報」((財)産業医学振興財団発行)を発行した。また、産業保健専門職や事業場の健康管理担当者を対象とした指針として、個人情報の保護と活用の基礎資料や本研究で収集した具体的な75事例の対応法をQ&A形式でまとめた書籍「産業保健版、個人情報の保護と活用の手引き」((株)法研)を出版した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (5件)
総合病院精神医学 18・2
ページ: 105-115
産業医学レビュー 19・3
ページ: 121-169
International Congress Series 1294, Evidence-Based Occupational Health
ページ: 206-208
これからの保健師、からだの科学 増刊
ページ: 44-48