研究概要 |
平成18年は、これまでに得られた正常データベースをもとに、さらなる病理学的検索を進めてみた。まず肉眼的異常の見られる脳組織について、デジタル・マイクロスコープを新たに導入し、それによる詳細な観察を行った。これによって特定のターゲットを絞って、マイクロダイゼクタによる細胞の切り出しを行った。 特に対象とした脳の病理学的検査は、変性疾患である。具体的には、Central chromatolysis,色素性萎縮、二核神経細胞、Lewy小体、Lafora小体、Bunina小体、Spheroid小体、Grumose,クル斑、アルツハイマー原線維変化、ピック小体、Corpora amylacea等を呈しあるいはこれらを含む細胞である。また動脈硬化の強い細胞の周囲も特に集中的に検索してみた。 これらの細胞についてミトコンドリアゲノムの解析を行い、またこれらの凍結切片からin-situ PCRを行い、特異的プローブを用いて、間接法にてミトコンドリアDNA変異の検出を行ったところ、特定の部位、特に16440-496部位に変異が集中する傾向が見られているが、特異性があるか否かについて、統計解析を行っていきたい。 また髄液からの微量元素分析を行ったところ、突然死例において、血液や尿と比して特定の元素の比率に異常が見られる傾向があり、現在解析中である。解析しているのはCd, Pb, Cu, Zn, Ga, As, Hgであるが、解析方法も確立し良好な結果が得られている。本年度は解析範囲を広げ、さらに有意な成果を目指したい。
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