研究概要 |
マウス、ハムスター、およびラットを用いて、高濃度酸素曝露(90-95%濃度酸素)に因るびまん性肺胞傷害(DAD)を作製した。急性期に於いては、肺胞内への炎症性滲出および肺硝子膜形成を認めた。慢性期に於いては、組織改築後の肺気腫形成を確認した。肺胞壁の線維化は、一部にのみ認めた。 更に、DADの発症機序を解明するために、マウス(C57BL/6J)を用いて、高濃度酸素曝露に因る肺に於けるmRNAの変化を調べた。 急性期の検討として、高濃度酸素曝露群(90-95%濃度酸素を2日間曝露)および対照群の二群に分けて実験を施行した。Cystein rich protein 61(Cyr61)、Connective tissue growth factor(Ctgf)、Ferritin light chain 1、等が有意に増加し、Nitric oxide synthase 2も増加傾向であった。Cyr61およびCtgfの誘導は、器質化過程に関連している可能性がある。また、Surfactant associated protein C、Lysozyme、Cytochrome P450,2f2等の有意な減少は、生体防禦機構の破綻を示唆する。 慢性期の検討として、2ヶ月余りのあいだ1日おきに高濃度酸素曝露を行い、最後は4日のあいだ高濃度酸素曝露をせずに飼育したのちに検討した。Ribosomal proteins、Matrix metalloproteinase 2、等は誘導され、Tissue inhibitor of metalloproteinase 3、H3 histone, family 3B、Vascular endothelial growth factor A、等は抑制されていた。以上は組織改築の進行を示唆する。
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