研究課題
基盤研究(C)
本研究補助金(平成17年度〜平成19年度)での研究成果は以下の通りである。1. 熱中症モデルマウスの作製とその病態解析まずマウスを用いて熱中症モデルを作製することができた。より高い環境下にマウスを暴露させると、マウスは熱中症を短時間で発症し、極めて短時間で死亡した。その際、TNF-α、IL-1β、MIP-2などのサイトカイン及びケモカインmRNAの発現は、より短時間で発現する傾向があったが、その発現の程度は、必ずしも温度とは相関しなかった。熱中症の死亡原因としては、高サイトカイン血症がその一つとして考えられているが、高温環境下においては、体温調節中枢の非可逆的変化及び高度の脱水等がより重要な役割を演じていると考えられた。なお、この研究結果については、現在投稿準中である。2. 短いDNA断片が、炎症性サイトカインを誘導するメカニズムの解析熱中症の重症化し、敗血症が引き起こされる過程において、細菌菌体そのものにより炎症が惹起されるのみではなく、細菌等が崩壊して形成された短鎖DNAによっても炎症が誘導され、その過程において重要な役割を演じているIFN-αの発現やスカベンジャーレセプターの機能をブロックすれば、熱中症の重症化を軽減できるのではと考えられた。3. 急性重症膵炎を合併した熱射病症例の臨床病理学的研究熱射病では、急性膵炎を合併することは一般的ではないが、炎天下での激しいスポーツを行うことは、熱射病を発症しやすくなるばかりではなく、腹部臓器への循環障害が引き起こされ、急性膵炎等の重篤な疾患が惹起される危険性が示唆された。この結果から、炎天下において激しいスポーツを行う際には、急速や水分補給を十分に行い、体調の変化に十分気をつける必要があると考えられた。
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