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2006 年度 実績報告書

砒素中毒の病態形成の分子機構-法医分子中毒学をめざして-

研究課題

研究課題/領域番号 17590582
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

木村 章彦  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (60136611)

研究分担者 近藤 稔和  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
キーワード砒素中毒 / 腎障害 / 性差 / エストロジェン / IL-6
研究概要

砒素中毒の病態形成の分子機構を明らかにすることを目的として、17年度はIFN-γ遺伝子欠損マウスを用いてIFN-γの砒素中毒病態形成への関わりについて検討し、IFN-γはTGF-βとのシグナルクロストークによりABCトランスポーターMRP1の発現が増加するように作用し砒素による腎障害に対して保護的に機能することを明らかにした。そこで、本年度は、砒素に対する感受性に及ぼす性差の影響について検討を加えた。雌雄のBalb/cマウスの背部皮下に亜ヒ酸ナトリウムを投与して経時的に血清尿素窒素およびクレアチニンの測定を行い、雌マウスが雄マウスに比べて砒素の毒性に対する感受性が有意に高いことを見出した。さらに、卵巣切除術を施した雌マウスおよび男性ホルモン受容体拮抗薬(フルタミド)を前投与した雄マウスを用いて同様に亜ヒ酸投与実験を行い、卵巣切除により雌マウスの砒素に対する感受性が低下することおよび男性ホルモン受容体の阻害が感受性に影響しないことを見出した。このことは、女性ホルモンであるエストロジェンが砒素に対する感受性を増強すること示している。これらの実験と並行してIL-6遺伝子欠損マウスを用いた実験を行い、IL-6遺伝子欠損マウスが野生型マウスと比較して砒素に対する感受性が有意に高いことを見出し、IL-6が砒素による腎障害に対して保護的に機能することを明らかにした。興味あることにIL-6遺伝子欠損マウスにおいては、野生型マウスで見られる砒素に対する感受性の性差は認められなかった。このことは、エストロジェンがIL-6のシグナルを抑制することで砒素中毒の病態形成において増悪因子として機能することを示唆するものと考えている。今後、さらにエストロジェンによるIL-6シグナル伝達抑制機構を明らかにして、砒素中毒の病態形成におけるサイトカインと女性ホルモンの役割の全体像を明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Interferon-gamma plays protective roles in sodium arseniteinduced renal injury by up-regulating intrarenal multidrug resistance-associated protein expression.2006

    • 著者名/発表者名
      Akihiko Kimura
    • 雑誌名

      American Journal of Pathology 169・4

      ページ: 118-128

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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