研究概要 |
1.5つのインプリント遺伝子(H19,SNRPN,HYMAI,PEG3およびMEST)の親判別(DMPA検出法)可能な領域のメチル化状態を複数サンプルについてクローニングレベルで解析したところ、いずれも各親アリルの高度メチル化あるいは疎メチル化状態が確認され、本法による親アリル判定の信頼性が確認された。一方、一部のクローンではメチル化状態の混在も少数ながら観察されたことから、本法における親判定の識別自体は問題ないと思われるが、サンプルによっては判定に困難を伴う可能性があると推察された。このメチル化状態の混在が最も顕著だったのはPEG3であった。 2.プライマー伸長法による4インプリント遺伝子の親アリル同時検出を行ったが、プライマー配列を検討した範囲においてはすべてのピーク高を均一に揃えることはできなかった。一方、PEG3遺伝子SNPをヘテロでもつサンプルの親判定が不完全(シングルピークとならない)となったことは、この方法が鋭敏であり、前述したメチル化の混在を反映した結果であると推定された。 3.DMPA検出法に応用可能な新規のインプリント遺伝子多型は見つからなかった。一方、H19の該当SNP領域周辺には多くのSNPが存在することから、親判別できるより長いハプロタイプの可能性を調べたところ、既報の検査では3SNPsから成る3アリルによる6ハプロタイプが観察されたが、その前後の11SNPsを加えると(計14SNPs)これまでに8アリルが観察されたことから、H19遺伝子単独での多型情報量の増大が期待される。これらの同時検出法に関しては現在検討中である。
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