研究概要 |
乱用薬物や薬毒物の包括的なスクリーニング法を構築し、さらに法医実務や救急外来における薬物スクリーニング等への応用をはかるために、抽出法としてSPME、スクリーニングにフレームサーミオニック検出器ないしFPD、同定及び定量にはGC/MS及びGC/タンデム質量分析計(MS/MS)を用いた方法を最終的に確立するのが本研究の目的である。その前段階の簡易スクリーニング法として、トライエージDOAによるヒト全血中乱用薬物の検出の検討を行った。トライエージDOAは尿中乱用薬物を簡便かつ迅速にスクリーニングできるキットであるが,全血を試料とした検出法については、十分な検討が行われているとはいいがたい。今回全血をジエチルエーテルで液-液抽出を行って,抽出後の試料について本キットを用い,薬物の検出が可能であるかどうか検討した. その結果血中最低検出濃度は,Phencyclidine 10ng/ml, Alprazolam 90ng/ml, Diazepam140ng/ml, Nitrazepam 300ng/ml, Triazolam 80ng/ml, Amphetamine 520ng/ml, Methamphetamine 400ng/ml, Morphine 300ng/ml, Codeine 120ng/ml, Pentobarbital 60ng/ml, Barbital 100ng/ml, Phenobarbital 160ng/ml, Amitriptyline 200ng/ml, Imipramine 200ng/ml, Nortriptyline 400ng/mlであり,概ね血中の中毒域濃度を下回っていた。この結果全血をジエチルエーテルで液-液抽出することで,トライエージを用いた血中乱用薬物のスクリーニングは十分可能であり、法医実務に応用することができると考えられる.
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