研究課題/領域番号 |
17590593
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
三好 美智夫 鳥取大学, 医学部, 助手 (20093627)
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研究分担者 |
井元 敏明 鳥取大学, 医学部, 助教授 (10109639)
渡邊 達生 鳥取大学, 医学部, 教授 (60182929)
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キーワード | アンギオテンシンII / 細菌性内毒素 / NF-κB / AP-1 / 視床下部 / 海馬 / サイトカイン / 発熱 |
研究概要 |
近年私たちは、細菌性内毒素(lipopolysaccharide ; LPS)の脳室内投与による発熱と脳でのinterleukin-1β(IL-1β)の産生に、脳のangiotensin II(ANG II)が貢献している事実を発見した。しかし、通常発現しているIL-1βに関しては、ANG IIの関与は認められなかった。従って、LPS刺激時には、脳内のANG IIがLPSによるサイトカインの産生を促進して発熱に貢献するものと推察される。しかし、ANG IIが炎症性サイトカイン産生を刺激するメカニズムは未だ明らかでない。本年度は、LPSが炎症性サイトカインmRNAを誘導する際に働く転写因子(NF-κBとAP-1)に着目した。すなわち、LPS刺激に応じてANG IIが転写因子の活性化を引き起こし、LPSと共にサイトカイン産生を誘導する可能性を検討した。その結果、LPSを脳室内に投与しても、ラット脳内(視床下部、海馬、小脳)のNF-κB活性とAP-1活性は、ともに変化(増加)しないことが分かった。さらに、ANG変換酵素阻害薬やANG 1型受容体拮抗薬をLPSとともに脳室内に投与すると、海馬あるいは小脳においてNF-κB活性とAP-1活性は、ともに増加した。一方、ANG IIをLPSとともに脳室内に投与すると、視床下部のNF-κB活性が増加した。これらの結果より、内因性の脳内のANG IIはLPS投与時の転写因子の活性を抑制し、外因性のANG IIは転写因子の活性を促進するものと推察される。従って、LPSによる脳でのサイトカイン産生へのANG IIの促進作用に転写因子の活性化は関与しないものと推察される。
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