今年度は、心理テスト「糖尿病に関する否定的認知尺度」の作成のために、以下のような作業を行った。 1.糖尿病に関する否定的認知を測定するための質問紙の項目候補の作成。 2.予備データの収集(1を糖尿病患者約100名に施行)。 3.2のデータから、項目分析を行い、弁別力の劣る項目を除いた。 4.3の質問紙と、以下の既存の心理テストを、約300名の糖尿病患者に施行した。 (1)Problem Areas in Diabetes Survey(PAID) 糖尿病に関する苦悩についての心理テスト (2)Beck Depression Inventory(BDI) うつ病に関する心理テスト (3)State-Trait Anxiety Inventory(STAI) 不安状態に関する心理テスト (4)Automatic Thoughts Questionnaire(ATQ) 抑うつ時に自動的に浮かんでくる否定的な考えに関する心理テスト (5)Expanded Hopelessness Scale(EHS) 絶望感に関する心理テスト (6)Self-esteem Test(SES) 自己評価に関する心理テスト 5.これらの患者の、以下の医学的・人口統計学的データを、診療録により調査し記録した。 年齢、性別、糖尿病の型(1型、2型など)、糖尿病発症年齢、治療法(自己管理のみ、血糖降下剤、インスリン注射)、HbA1c(血糖コントロール)、糖尿病慢性合併症の有無と程度など 6.質問紙の予備的な因子分析を行った。 7.因子分析の結果、以下のような因子が認められた。 「希望のなさ」「苦行」「周囲からの干渉」「周囲の無理解」 8.因子分析の結果などを参考にして(因子負荷量の小さい項目を除くなど)、質問紙を適切な項目数(20〜30)に精選し、質問紙を完成する。 9.完成した質問紙の、信頼性・妥当性の検討を行う。
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