研究課題
基盤研究(C)
背景:パーソナリティ要因、とりわけ感情抑圧や喪失-失望感が悪性腫瘍の罹患や進行と関連づけられてきたが、これらの要因の大腸がんにおける役割についてはほとんど報告されていない。また、誇張された感情表現、自己中心性、両価的な人間関係に特徴づけられる「ヒステリー的」パーソナリティが悪性腫瘍に対して予防的であるかもしれない。我々は、地域ベースの症例対照研究において、感情抑圧や喪失-失望感と関連したパーソナリティ要因が大腸がんリスクの高まりと関連しているか、およびヒステリー的パーソナリティ関連の要因がリスク低下と関連しているかを検討した。方法:ストレス調査票は、日本人における疾病親和的および他の関連したパーソナリティを評価すべく開発された自記式質問票である。497人の新規に診断された大腸がん患者と福岡市都市圏から無作為抽出された809人の対照者がストレス調査票に回答した。結果:多重ロジスティック回帰を用いて性、年齢、居住地を補正した結果、ストレス調査票のうち感情抑圧と関連したもの(「受容欲求非充足感」、「利他性」、および「欲求不満・葛藤の合理化」)や喪失-失望感と関連したもの(「低コントロール感」、「対象依存/喪失」、「対象依存/幸福」)のいずれも大腸がんと関連していなかった。一方、ヒステリー的パーソナリティの成分を表す2つの尺度、「対象依存/両価性」と「利己性」がリスクと予防的に関連していた。体格指数と生活習慣要因を更なる補正要因として考慮しても、これらの関連はほとんど変わらなかった。結論:感情抑圧や喪失-失望感と関連したパーソナリティは日本人集団における大腸がんの危険因子ではない一方、両価的な人間関係や自己中心性が予防的であるかもしれない。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
Cancer Sci 97
ページ: 1099-1104
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