研究課題/領域番号 |
17590596
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
細井 昌子 九州大学, 大学病院, 助手 (80380400)
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研究分担者 |
久保 千春 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80117100)
有村 達之 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80264000)
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キーワード | 痛み / 質問紙 / 中枢性制御 / 疼痛性障害 / 評価法 |
研究概要 |
痛みの訴えの性状および強度を簡易に測定する指標である短縮版マギル痛み質問票(Short-Form McGill Questionnaire : SF-MPQ)の日本語版(SF-MPQ-JV)を日本語文化での痛み表現を考慮して作成した。順翻訳後に得られた逆翻訳版の英文SF-MPQについて、その概念的等価性および妥当性を原作者であるカナダMcGill大学のMelzack博士に判定を依頼し、原作と概念的に等価で妥当であることが判明した。関節リウマチの関節痛の表現として英語圏で使用されるGnawingという言葉の和訳である「かみつかれるような」は日本人では使用されることがほとんどなく、日本人の関節リウマチ患者で再度検討し直し、「絶え間のない鈍い」という用語が選択され、原作者にも了承を得られた。原版である英語版SF-MPQの15の痛み表現については、その各表現の強度が英語版で報告されており、日本人の痛みを持つ患者39人にその強度をVAS10cmで評価してもらい、英語版と日本語版の各表現の強度の相関を評価したところ、R=0.82(P=0.0019)と有意な相関を認めた。さらに、すでに公表されている原版マギル痛み質問票(Long-Form McGill Questionnaire : LF-MPQ)日本語版とSF-MPQ-JVとの相関を60例の慢性の痛みを持つ症例で検討し分析した。LF-MPQとSF-MPQの痛みの感覚的表現と感情的表現の得点および総得点で有意な相関が得られ、3-5分で記入可能であるSF-MPQは記入に10分程度かかるLF-MPQと同等の情報を短時間で得られることが判明した。痛みの病態の評価としてMPQは有用であるが、治療による効果判定の際に、痛みの経時的な評価を行う必要があり、医学一般で使用が可能で簡便な痛み評価法として、SF-MPQ-JVが臨床的に有用であることが判明した。
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