研究概要 |
1.研究の目的 喫煙者において禁煙前後の消化管機能、食欲関連ホルモンの各ホルモンの各パラメーターの変化を前向きに検討することで禁煙後の体重増加のメカニズムの理解に近づく。 2.研究実績 (1)平成19年3月5日までに42症例(男性31例、女性11例)から同意取得後に登録が得られた。彼らに対して依存度テスト、呼気CO濃度測定により喫煙状況を把握後、ニコチネルTTSおよびカウンセリングによる禁煙支援を行った。 (2)禁煙支援により26例が成功、11例が失敗、5例が治療継続中である。26例の禁煙成功者について解析した。 (3)禁煙前の平均体重は、67.7±14.9kg、後は69.4±14.8kgであり、禁煙2ヶ月間で有意に体重増加が認められた(n=26,P<0.01)。同様に腹囲も禁煙前86.6±10.7cm、禁煙2ヶ月後88.2±10.1cmと増加傾向が認められた(n=23,p=0.05)。 (4)^<13>C測定による胃排出能は、禁煙前のTmax値は57.4±23.1分であり、禁煙2ヶ月後では49.1±17.0分と有意に禁煙後に短縮された(n=26,p<0.05)。禁煙により胃運動が亢進することが示され、禁煙後の体重増加への関与が示唆された。 (5)食欲に関連するホルモンの検討では、食欲抑制に働くレプチンの有意な増加が認められた(禁煙前5.2±3.6ng/ml、禁煙後6.5±4.2ng/ml,n=26,p<0.05)。食欲亢進に働くグレリンも増加傾向が認められたが、有意差は認められなかった(禁煙前7.1±5.7ng/ml、禁煙後9.1±7.4ng/ml, n=14, p=0.21)。レプチンの増加は体重増加に伴う二次的な増加の可能性がある。 3.今後の計画 (1)症例の蓄積と長期経過例の追跡 (2)学会発表及び論文作成
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