研究課題/領域番号 |
17590600
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (50264875)
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研究分担者 |
羽野 卓三 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (90156381)
鶴尾 吉宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90207449)
清水 靖仁 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (80235671)
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キーワード | 性ホルモン / 情動的ストレス / たこつぼ型心筋症 / 男性更年期 / 動物モデル / 遺伝子発現 / 性差 / 交感神経-副腎髄質 |
研究概要 |
ストレス応答における性差を性ホルモンレベルの変化から解明するため、エストロゲンとアンドロゲンの効果を検証した。たこつぼ型心筋症は閉経後の女性に好発し、著しい性差がある。我々は不動化ストレス負荷(IMO)を負荷したラットはたこつぼ型心筋症の動物モデルに成り得ること、エストロゲンの慢性投与でこの収縮不全が改善することを示した。今回、エストロゲンの作用機序を、脳、副腎、心臓で解析した。卵巣摘除群(OVX)および卵巣摘除後エストロゲン徐放剤投与群(OVX+E)を作製し、2週後IMOを加え、脳、副腎、心臓を採取し、in situ hybridization法、real-time RT-PCR法を用いて、遺伝子発現レベルを評価した。また脳でのc-Fos免疫陽性細胞数を評価し、脳や心臓でのエストロゲン受容体の存在を免疫染色あるいはRT-PCR法で検討した。径多シナプス性に交感神経-副腎髄質に投射する扁桃体内側核、視床下部室傍核等の領域でのc-Fos免疫陽性神経細胞数がOVX+Eで有意に減少した。これらの領域の神経細胞はエストロゲン受容体を発現した。視床下部室傍核、副腎、左心室におけるc-fos mRNAレベルは、OVX+Eで有意に減少した。一方、心臓においてHSP70、ANPmRNAレベルは、OVX+Eで有意に増加した。エストロゲン補充により、辺縁系→視床下部→副腎→心臓の各レベルでストレス応答が低下したが、心臓における心血管系保護物質の発現が増加した。エストロゲンは自律神経系を介する間接作用、および心臓への直接作用により、情動的ストレスに対して心保護効果を示す。 閉経に伴うエストロゲンの低下が、たこつぼ型心筋症発症の素因に成り得る。男性においても、加齢に伴うアンドロゲンの減少による男性更年期も注目されており、アンドロゲンもストレス応答を修飾する可能性がある。今回、精巣摘除群(Cast)および偽手術群(Sham)にIMOを加え、脳でのc-Fos免疫陽性細胞数を評価した。扁桃体内側核、視床下部視索上核では、Castで有意に増加し、視床下部室傍核小細胞部ではCastで有意に減少した。アンドロゲンレベルの変化も、ストレス応答を修飾することが示唆された。
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