研究課題
基盤研究(C)
本研究では、漢方方剤の一種である「小青竜湯」の気道感染症に対する有効性の作用機序並びに作用成分を明らかにすることを目的として検討を行った。1.気道炎症に対する作用:気道炎症モデルマウスに小青竜湯を経口投与することにより、気道炎症の特徴のひとつである気道過敏性が低下することを明らかにした。また、小青竜湯は気道炎症で低下した細胞膜骨格タンパク質であるspectrin α2の発現量を回復させたが、ステロイド薬であるプレドニゾロンは回復させなかった。さらに、小青竜湯は肺洗液中の抗原特異的IgE抗体価を低下させたが、プレドニゾロンは低下させなかったことから、小青竜湯とプレドニゾロンの機序が異なることが推定された。2.アジュバント作用成分:小青竜湯が経鼻接種インフルエンザワクチンこ対するアジュバント作用を有することを既に明らかとしている。その活性成分であることが推定されたピネリン酸の各立体異性体は単独では活性を示さなかったが、9S,12S,13S体と9S,12R,13R体を90.4対9.6の比率で混合して経口投与するとアジュバント活性を示し、さらにインフルエンザウイルス感染防御効果を示すことが明らかになった。多成分系の薬物である漢方薬の薬理作用として、立体異性体間の複合効果はこれまでに報告がなく、本研究が初めての報告である。また、研究代表者らはこれまでに気道炎症モデルマウスにピネリン酸を経口投与することにより、肺洗液中の抗原特異的IgE抗体価が低下することも明らかとしている。したがって、小青竜湯中のピネリン酸が呼吸器疾患の改善に深く関与していることが考えられる。本研究を通じ、感冒やインフルエンザなどに多面的に用いられている小青竜湯の作用成分と気道粘膜免疫系を介した作用機序の一端を明らかにすることができたと考えられる。
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