平成18年度の研究状況 1.変異率解析 前年度に15週齢のマウスを用いた変異アッセイを施行し、慢性腸炎モデルマウスでは、変異率が上昇することを確認していたので、引き続き40週齢のマウスを用いて同様の検討を施行した。すなわちin vitro packagingにより、トランスジーンをλファージとして回収し、6-thioguanine selection(点突然変異及び数塩基程度の欠失・挿入変異が検出できる)とsensitive to P2 interferencese lection(比較的長い欠失・挿入変異が検出できる)を施行し、変異率を算出した。その結果6-thioguanine selectionでは、gpt^+IL-10^<-/->の大腸で、有意に変異率が増加し(gpt^+IL-10^<-/->マウス、gpt^+IL-10^<+/+>マウスそれぞれ15.2×10^<-6>、3.3×10^<-6>)、近位大腸、遠位大腸いずれにおいても同様の傾向が認められた。 2.変異様式解析 40週齢での6-thioguanine selection変異様式は、gpt^+IL-10^<-/->マウスでtransitionが8.66×10^<-6>、transversionが4.1×10^<-6>、欠失変異は1.44×10^<-6>、挿入変異は0.97×10^<-6>であった。gpt^+IL-10^<+/+>マウスでは、transitionが1.81×10^<-6>、transversionが1.31×10^<-6>、欠失変異は0.14×10^<-6>、挿入変異は0.07×10^<-6>であった。 3.マウス慢性腸炎の臨床病理学的解析 40週齢の時点で、gpt^+IL-10^<-/->マウスは平均体重が26.2±4.7gで、gpt^+IL-10^<+/+>マウスは30.6±3.0gと有意差が認められ、gpt^+IL-10^<-/->マウス4匹中1匹で脱肛と肛門出血を認めた。また、gpt^+IL-10^<-/->マウスの腸管は厚く浮腫状で、正常腸管のコントロールマウスとは対照的であった。
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