HCVコア蛋白の作製を行うために、研究協力者の長沼篤の有するHCVコア蛋白の発現ベクターから、HCVコア蛋白Full length(p191)やtruncated HCVコア蛋白をcodeするDNAをGST fusionベクターに分子生物学的にサブクローニングして精製を試みるも、やはり、C末端の疎水性が強いためか、プライマーのデザインや蛋白精製の条件を変えて何度も施行するも精製が困難であった。従って、さらに短いアミノ酸残基のHCVコア蛋白を数種類、市販で購入した。米国留学中に作製してある無数のペプチドをcodeするDNA配列を持ったペプチドを提示するバクテリオファージライブリーを一部解凍し、ライブラリーサイズの検討を行ったところ本来のdiversityが減少していたため、再度調整を行って、diversityの検討を行い10^9程度のサイズを確保した。このライブラリーを用いて、まず1種類のHCVコア蛋白を用いてバイオパニングを行った。しかしながら、バイオパニングされたバクテリオファージは、GSTが関与すると考えられるものであったり、非特異的結合を示すものだけであったり、条件を変えると、結合力の弱すぎるバクテリオファージしか得られなかったりしたため、別の種類のHCVコア蛋白に変更し条件設定を試みた。しかしやはり十分な特異的結合のあるペプチドをディスプレイしているバクテリオファージが得られないため、バクテリオファージライブリーの再度の調整とバクテリオファージライブリーのデザインの変更を行った別なバクテリオファージライブラリーの調整を行い、この2つのライブラリーを用いてHCVコア蛋白の種類を変え、洗浄や結合時間などの条件設定を細部にわたり行い、特異的結合のあるペプチドを有するファージを現在バイオパニングしている段階である。この段階が我々のプロジェクトの中で、最も重要でかつ難易度が高い過程である。
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