研究課題
AR42J細胞は膵共通前駆細胞の性質を持つ。前年までの検討により、アクチビンAとベータセルリンの作用でインスリン産生細胞へ分化する時、1.タイトジャンクション(TJ)を形成しないにも関わらず、JAM-1およびその情報伝達系が活性化すること、2.JAM-1はTJだけでなく、細胞内においてRab3BやRab13と同じ小胞上に存在すること、3.膵ラ氏島ではβ細胞ではなく、α細胞に発現していることが明らかとなった。JAM-1は膵内分泌細胞の分化に大きな役割を果たしていることが予想されるが、β細胞、α細胞の細胞株であるMin6細胞、αTC細胞に過剰発現させても、インスリンやグルカゴンの発現には特に変化がみられなかった。ラット腹腔内にストレプトゾトシンを注射すると糖尿病ラットを作成することができる。この時転写因子PDX-1やPGP9.5の発現は亢進しており、膵ラ氏島の再生は促されている。JAM-1の発現レベルを正常ラットと比較すると、mRNAレベル・蛋白レベル共に発現が亢進していた。免疫組織染色によりJAM-1の発現の時間経過をみると、JAM-1の発現は2週間ではみられず、その後徐々にα細胞の中でJAM-1を発現している細胞が徐々に増加してゆき、8週の段階でα細胞の全てでJAM-1が発現するようになる。経過を通じてβ細胞にJAM-1の発現はみられなかった。以上から、JAM-1は膵内分泌細胞の発生・分化に関与していると考えられるが、その機能解明には更なる詳細な検討が必要である。
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