研究課題
基盤研究(C)
膵外分泌腺由来AR42J細胞は共通前駆細胞の性質を持ち、アクチビンA+ベータセルリンの作用でインスリン産生細胞へ分化する。この時、多くの遺伝子の発現が変化する(Mashima, et. al.Diabetes48;304-9:1999)が、今回、Junctional Adhesion Molecule-1(JAM-1)に着目した。AR42J細胞がインスリン産生細胞へ分化する時、タイトジャンクション(TJ)を形成しないにも関わらず、TJの構成蛋白であるJAM-1は著明に発現が亢進する。JAM-1のAR42J細胞の分化に及ぼす影響の検討が本研究の主眼である。JAM-1はアクチビンA+ベータセルリンの添加後、mRNAレベルでは3時間後、蛋白レベルでは24時間後に発現の増加がみられた。TJからのシグナル伝達分子であるPAR-3やatypical PKCλも同様に発現が亢進した。AR42J細胞に過剰発現をさせると細胞表面だけでなく、細胞内小胞にも発現が認められた。TJの蛋白は細胞間接合部にとどまるのではなく、分裂や増殖にあわせて細胞内をリサイクリングしていることが最近明らかにされ、RabファミリーのRab3BやRab13が関与していると報告された。二重染色を行った所、JAM-1もやはり、Rab3BやRab13と同じ細胞内小胞に存在した。ストレプトゾトシンを腹腔内投与して糖尿病ラットを作成し、膵ラ氏島のJAM-1の発現を比較したところ、糖尿病ラットではJAM-1の発現が亢進していた。以上から、JAM-1はAR42J細胞のインスリン産生細胞への分化及び膵内分泌細胞の再生に重要な役割を果たしていることが明らかにされ、今後は胎生期の膵ラ氏島やJAM-1の発現変化がAR42J細胞の分化に及ぼす影響等を詳細に検討することにより、JAM-1の機能を明らかにしてゆく。
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Endocrine Journal (In press)
Infection And Immunity (In press)
Journal of Cellular Biochemistry 95
ページ: 1157-1168
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