研究課題/領域番号 |
17590618
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池田 均 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80202422)
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研究分担者 |
矢富 裕 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60200523)
富谷 智明 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (90227637)
柳瀬 幹雄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50334397)
手島 一陽 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (30396733)
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キーワード | オートタキシン / リゾフォスファチジン酸 / 肝線維化 / 肝硬変 / 肝障害 |
研究概要 |
新奇のリン脂質メディエーターとして注目されているリゾフォスファチジン酸(Lysophosphatidic acid : LPA)、およびその産生酵素であるオートタキシン(Autotaxin : ATX)の臨床的意義を、とくに肝障害について検討した。血清ATX活性および血漿LPAはヒト慢性肝疾患において、線維化と相関して上昇することが明らかとなった。また、血漿LPAと血清ATX活性には強い相関が認められ、血清ATX活性が血漿LPA濃度を規定する一因子であることが解明された。血清ATX活性および血漿LPA上昇が一般の肝障害でも認められる現象であるかを確認すべく、動物モデルで検討を行った。肝線維化のモデルである四塩化炭素反復投与ラットにおいても、血清ATX活性および血漿LPAは線維化の進展に伴い上昇していた。ATX遺伝子の肝臓における発現の検討からは、四塩化炭素反復投与ラットにおける血清ATX活性亢進は肝臓における転写レベルでの産生亢進では説明できないことが明らかとなった。また、血清ATX活性および血漿LRAはジメチルニトロサミンによる急性肝障害ラット、さらに70%肝切除ラットで上昇していた。ジメチルニトロサミンによる急性肝障害ラットでは血清ATX活性は肝障害の程度をあらわす血清ALTと相関して亢進していた。また、70%肝切除ラットでは血清ATX活性は術後3時間の早期から充進し、24時間に至るまで同じ程度の充進が認められた。これらの結果から、血清ATX活性および血漿LPAは一般に肝障害において上昇し、その程度と相関することが推定された。また、肝障害における血清ATX活性亢進の機序として、障害された肝臓におけるクリアランスの低下の可能性が考えられた。血清ATX活性および血漿LPA上昇が、肝障害の結果であるか、あるいは病態形成に何らかの関わりがあるかについて、さらに検討したいと考えている。
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