研究課題/領域番号 |
17590630
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
大澤 恵 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (10397391)
|
研究分担者 |
伊熊 睦博 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (00275108)
金岡 繁 浜松大学, 健康科学部, 教授 (00252172)
|
キーワード | farnesoid X受容体 / guggulsterone / 胆汁酸 / パレット食道癌 / Chemoprevention |
研究概要 |
近年の胃食道逆流症の増加により、胃食道逆流症→バレット上皮形成→腸上皮化生・異形成→バレット食道癌のsequenceが想定され、特に胆汁酸逆流がこの過程に関与すると推測される。本研究では胆汁酸受容体を標的としてバレット食道癌にいたるバレット上皮進展のChemopreventionの検討を行なうことを目的とした。具体的には、食道粘膜細胞およびバレット食道粘膜の培養細胞を用いて、酸や胆汁酸暴露による細胞増殖の増大と腸上皮化に重要な蛋白であるcdx2発現増加を示し、これらがfarnesoid X受容体(胆汁酸の核内受容体)アンタゴニスト(guggulsterone)により抑制されることを示すことを目的とした。 2年間の研究において、主題に関連する以下の事項が明らかとなった。 (1)食道扁平上皮では発現のないcdx2蛋白が、バレット食道腺癌の細胞株ではconstitutiveに発現していた。(2)バレット食道腺癌の細胞株において胆汁酸(DCA, CDCA)の暴露は、cdx2蛋白の発現を濃度依存的に増大させた。(3)上記の胆汁酸のcdx2発現増幅効果は、胆汁酸の核内受容体であるfarnesoid X受容体のアンタゴニストにより濃度依存的に抑制された。 これらの結果は、胆汁酸受容体を標的としたバレット食道腺癌のChemopreventionの可能性を支持している。我々は今後、farnesoid X受容体のシグナル伝達が食道癌発症に果たす役割をより詳細に検討するため、farnesoid X受容体の選択的アゴニストによるcdx2発現の再現性の検討を行なう。さらにsiRNAを用いたfarnesoid X受容体のdown-regulationの影響の検討を行って、本受容体の関与および我々のChemoprevention仮説の検証を重ねる予定である。
|