CD9は、tetraspanin family(TM4SF)に属する4回膜貫通型の膜蛋白であり、インテグリンやCD19、HB-EGFなどと複合体を形成し、コファクターとして細胞接着、遊走、転移、増殖、シグナル伝達などに関与する。これまで我々は、ヒト胃癌細胞株や大腸癌細胞株において、抗CD9抗体(ALB6)を投与することによりアポトーシスを誘導し、その機序にp46Shc、p38、JNKのリン酸化及びcaspase3が関与することを明らかにしている(J Cell Sci.2004)。 今回CD9を標的とした、消化器癌の新たな治療法の可能性について以下の検討を行いCD9のin vivo における抗腫瘍効果を確認している。 <実験内容>胃癌細胞株(MKN-28)を免疫不全動物(ヌードマウス)に皮下移植して担癌モデルを作成し、抗ヒトCD9抗体を静注または腫瘤形成部に局注して抗腫瘍効果を検討した。実験のプロトコールを以下に示す。 A群 コントロール B群 ALB6(抗CD9抗体) 100μg/body/回 静注 3日間隔×2回 C群 ALB6 100μg/body/回 静注 3日間隔×3回 D群 ALB6 50μg/body/回 局注 連日×12回 <結果>A群と比較し、B群で約45%、C群で約55%、D群で約70%の抗腫瘍効果(Tumor Growth Ratio;腫瘍の長径×短径の二乗×0.52を用いて比較検討した)を認めた。
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