1)マウス肝癌の系を用いたEphA2由来ペプチド-DCワクチンによる抗腫瘍効果の検討 EphA2は、進行癌において発現率が高くなる新規癌抗原として発見された。我々はヒト及びマウスMHC class I&II結合ペプチドを同定しており、これを用いた癌免疫療法の基礎的検討を行っている。マウス大腸癌細胞MC38の皮下腫瘍モデルを用いてEphA2ペプチド-樹状細胞(Eph-DC)ワクチンの抗腫瘍効果を検討した。Eph-DCワクチンは効率的にEphA2特異的CTLを誘導し、これによりMC38皮下腫瘍に対し強い抗腫瘍効果があることを明らかにした(現在投稿準備中)。現在MC38肝腫瘍モデルを用いてEph-DCワクチンの抗腫瘍効果を検討中である。またヒト大腸癌組織におけるEphA2の発現と大腸癌の病態との相関を評価するためにヒト大腸癌試料を収集し、EphA2の発現を検討し解析中である。 2)マウス肝癌に対するIL-12遺伝子導入DCによる抗腫瘍効果の検討 進行癌では樹状細胞(DC)機能が抑制され、このことが進行癌でのDC癌治療が困難な一因と考えられている。我々はTh1系サイトカインのIL-12遺伝子を進行癌由来DCに遺伝子導入し、マウス肝腫瘍モデルにてこれによる癌治療の有用性を検討した。担癌マウスより誘導したDCは正常マウスDCと比して抗原提示機能低下を認めたが、IL-12を遺伝子導入することで機能が回復した。マウス肝腫瘍に対しIL-12遺伝子導入DCを腫瘍内投与し抗腫瘍効果を検討した。これまで多数報告されている皮下腫瘍モデルとは異なり、IL-12DCによる肝局所での免疫誘導により先天免疫及び獲得免疫両者とも活性化し、これにより強い抗腫瘍効果が得られることを明らかにした(現在投稿準備中)。今後IL-12遺伝子導入DCによる肝腫瘍に対するペプチドワクチンの有用性について検討予定である。
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