研究課題/領域番号 |
17590639
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻井 正彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40303937)
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研究分担者 |
川野 淳 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60133138)
辻 晋吾 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40301262)
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キーワード | cyclooxygenase-2阻害剤 / celecoxib / 5-FU / 大腸癌 / 腫瘍血管新生 / VEGF |
研究概要 |
1970年代から非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)の長期間常用患者では、大腸癌の死亡率が40%低いことが報告されてきた。NSAIDsの標的分子の一つにcyclooxygenase(COX)があり、その2つのアイソザイムのうち、COX-2の発現が腫瘍組織において亢進している。大腸癌の前癌病変である家族性大腸腺腫症の大腸ポリープがCOX-2特異的阻害剤で縮小することから、COX-2阻害剤の抗腫瘍効果が示され、同薬剤を用いた大腸癌の予防・治療の可能性が注目されている。 進行大腸癌の予後は近年の化学療法の開発にも関わらず、満足できるものではない。より有効な治療法の開発を目指し、本検討では50年近く臨床応用され殺細胞活性の面から抗腫瘍作用と副作用の両面の機序が最も明らかになっている5-FUを軸にCOX-2特異的阻害剤celecoxibとの併用時の薬理作用・有効性を明らかにする。 現在までに、in vivo studyとして、BALBマウスに同系マウス大腸癌由来培養細胞株colon 26を皮下移植、5-FU/celecoxibを投与し、経時的に腫瘍増殖を検討した。 結果、 (1)5-FU/celecoxib併用投与はそれぞれの単独投与に比べ、有意に腫瘍増殖を抑制すること (2)5-FU/celecoxib併用により腫瘍血管新生が有意に抑制されること (3)5-FU/celecoxib併用により腫瘍組織中のVEGF量が有意に減少すること (4)celecoxib投与により、腫瘍組織中のリンパ球浸潤が有意に増加すること (5)celecoxibは担癌、あるいは5-FU投与に伴う体重減少を抑制すること が明らかとなった。
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