研究課題/領域番号 |
17590639
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻井 正彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40303937)
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研究分担者 |
川野 淳 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60133138)
辻 晋吾 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40301262)
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キーワード | cyclooxgenase / 大腸癌 / 5FU / 腫瘍血管新生 / interferon-γ / 化学療法 / celecoxib / 併用療法 |
研究概要 |
NSAIDsの標的酵素であるCyclooxygenase(COX)、中でも誘導型のCOX-2が大腸腫瘍で高発現しており、腫瘍細胞増殖、抗アポトーシス、腫瘍血管新生、腫瘍の浸潤転移、腫瘍免疫抑制など癌の発生進展において重要な働きをしていることが明らかとなり、COX-2阻害剤に大腸腫瘍に対する化学予防効果があることが注目されてきた。進行癌に対して抗癌剤とCOX-2阻害剤との併用投与療法が考案されているが、その効果については明らかではない。本検討ではマウス進行大腸癌モデルを用い、COX-2阻害剤celecoxibと抗癌剤5FUの併用効果並びに抗腫瘍増強の機序について検討した。[方法]BALB/cマウスに同系マウス由来の大腸癌細胞Colon26を皮下接種し、腫瘍塊が確立された腫瘍径が5mmに達した時点から、5FU(20mg/kg)とcelecoxib(3mg/kg)をそれぞれ単独または併用して21日間投与し腫瘍径を測定した。投与終了時に腫瘍を採取し、腫瘍血管新生と腫瘍組織内の白血球浸潤、腫瘍組織内VEGF、IL-10、IL-12、IFN-γ量を評価した。[成績]celecoxibは5FUの抗腫瘍効果を増強した。celecoxib、FUは単独で有意に腫瘍組織内のVEGF濃度・腫瘍組織内の血管密度を低下させたが、併用はさらに有意に低下させた。腫瘍組織内のIL-10およびIL-12濃度に有意差は見られなかったが、IFN-γ濃度は、併用で5FU単独に比べ有意に増加していた。IFN-γノックアウトマウスでは野生型で認められた併用投与による腫瘍増殖抑制効果および血管新生抑制効果は認めらなかった。[結論]進行大腸癌モデルにおいて、celecoxibはIFN-γ産生を充進させ、腫瘍血管新生を抑制することで5FUの抗腫瘍効果を増強することが明らかとなった。
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