C型肝炎ウイルスは、日本における慢性肝障害の原因の大部分を占めるが、進行して肝硬変や肝細胞癌を引き起こす。C型肝炎ウイルス排除を目指す治療としてインターフェロンによる治療法が確立されている。C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療における効果予測因子として、ウイルス側の因子は、ウイルス量やウイルスのgenotypeが重要な因子であることが明らかとなっている。一方宿主側の因子ではインターフェロン治療の効果予測因子として確立されたものはなく、宿主側因子の解明により、より効率の良いC型肝炎治療の確立が期待される。本研究ではインターフェロン治療における細胞傷害性T細胞(CTL)のC型肝炎ウイルス蛋白に対する免疫反応を解析することで、新たなインターフェロン治療効果予測因子を確立することを目的としている。本研究の内容に同意したインターフェロン治療を受けるC型慢性肝炎患者よりCTLを採取し、C型ウイルス蛋白由来HLA class I結合ペプチドに対するCTL免疫反応をELISPOT法により検討した。基礎実験として生体より採取したCTLの免疫反応はin vitroでの再刺激は必要なしでELISPOT法にて検出可能であること明らかにした。現在患者試料の収集を継続中であり、順次ELISPOT法にて解析中である。最終的なインターフェロン治療効果が決定されてないので、preliminaryな結果ではあるが、治療初期のCTL反応とウイルス排除との相関が示唆されている。今後症例数を増加させ、C型肝炎の病態とCTL免疫反応の相関を解析予定である。
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