研究課題
基盤研究(C)
C型肝炎ウイルス(HCV)は、日本における慢性肝障害の原因の大部分を占めるが、進行して肝硬変や肝細胞癌を引き起こす。HCV排除を目指す治療としてインターフェロン(IFN)による治療法が確立されているが、IFN治療時のウイルス排除における、HCVの動態に関してはウイルス量やウイルスのgenotypeの視点から数多く解析されている。一方宿主側因子では、IFN治療の効果予測因子として確立されたものはない。本研究では、IFN-γELISPOT法を用いてIFN治療における細胞傷害性T細胞(CTL)のHCV蛋白に対する免疫反応を解析することを目的としている。HCV蛋白由来のHLA-classI結合ペプチドを合成し、このペプチドに対するCTLの免疫反応をIFN-γELISPOT法によって検討した。基礎実験として生体より採取したCTLはin vitroでの再刺激は必要なしでELISPOT法での検出が可能であることを確認した。次にペグインターフェロン及びリバビリン併用による治療を受けるC型慢性肝炎患者を対象に治療前、治療開始2週間後、4週間後にCD8陽性Tリンパ球を採取し、HCV由来ペプチド(HCV-Core35,-Core131,-NS3-1073,-NS3-1406)に対する免疫反応をIFN-γELISPOT法にて評価した。ほとんどの症例において治療前のHCVペプチドに対するIFN-γ産生は非常に低かった。IFN治療後IFN-γ産生の増大は、4種類いずれのHCV由来ペプチドに対しても、SR症例では多く認められたが、TR症例、NR症例ではIFN-γ産生の増大は、低い傾向であった。以上よりHCV排除にHCV特異的CTLが関与しており、HCVの排除にIFN投与早期のCTL免疫反応が関与していることが示唆された。以上の結果よりIFN-γELISPOT法はC型慢性肝炎患者のCTL免疫反応を評価するのに有用な方法であることが明らかとなった。
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