研究概要 |
[目的]今回我々はHCV陽性肝細胞癌患者手術で得た組織を用いて非癌部と癌部のタンパク質を二次元電気泳動法により分離、ディファレンシャルディスプレイ法により発現に違いのあるスポットを単離、MALDI-TOF-MSを用いたペプチドマスフィンガープリント分析法によって同定することを目的としている。またHCV構成タンパク質をヒト肝癌細胞株に遺伝子導入することにより発現が変化するタンパク質も同様の方法で明らかにすることで、HCV感染そのものによるタンパク質変化と、感染後20年〜30年経過して癌化した組織におけるタンパク質変化の相違を明らかにする。[方法]現在までに十分なインフォームドコンセントの後に約40例の肝細胞癌患者癌部、非癌部を-80℃で凍結保存している。また培養肝癌細胞株にHCV構成タンパク質およびIICVの非構造タンパクのみが増殖しうるHCV-Keplicon細胞の遺伝子導入を行い、発現の変化するタンパクを同定する。[結果]HCV構成タンパク質 (Core, NS2,NS3, NS4A, NS4B, NS3-4B, NS5A, NS5B)発現プラスミド及びHCVreplicon細胞を作成した。これらHCVタンパク質の遺伝子導入にて発現が変化するタンパク質を同定するため、現在二次元泳動の調整を行っている。現在までにHCV-非構造タンパクよりなるレプリコンの発現により、EIongationFactor、 T-complex pro、tein、 Retinal Dehydrogenaseなど細胞増殖と関連のあるタンパク質の発現亢進を確認することが出来た。[今後の展望]更に肝細胞癌患者の癌部・非癌部組織を集め、二次元泳動が十分安定的に行えるようになったところで患者組織を使用して解析を行う。
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