【目的】今回我々はHCV陽性肝細胞癌患者手術で得た組織を用いて非癌部と癌部のタンパク質を二次元電気泳動法により分離、ディファレンシャルディスプレイ法により発現に違いのあるスポットを単離、MALDI-TOF-MSを用いたペプチドマスフィンガープリント分析法によって同定することを目的としている。またHCV構成タンパク質をヒト肝癌細胞株に遺伝子導入することにより発現が変化するタンパク質も同様の方法で明らかにすることで、HCV感染そのものによるタンパク質変化と、感染後20年〜30年経過して癌化した組織におけるタンパク質変化の相違を明らかにする。【方法】培養肝癌細胞株にHCVの非構造タンパクのみが増殖しうるHCV-Replicon細胞の遺伝子導入を行い、発現の変化するタンパクを同定する。【結果】HCV replicon細胞を作成した。HCVレプリコンの遺伝子導入にて発現が変化するタンパク質を同定するため、二次元泳動を行った。HCV-非構造タンパクよりなるレプリコンの発現により、ElongationFactorl、T-complexprotein、Retinal Dehydrogenase、Ubiquitin factorなど細胞増殖との関連が報告されているタンパク質、あるいは細胞構成に重要な機能を持つタンパク質の発現亢進を確認することが出来た。
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