研究課題/領域番号 |
17590648
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
赤田 純子 山口大学, 大学院医学系研究科, 助手 (30346548)
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研究分担者 |
赤田 倫治 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (20201882)
中村 和行 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90107748)
青木 浩樹 山口大学, 医学部, 助教授 (60322244)
西川 潤 山口大学, 大学院医学系研究科, 助手 (00379950)
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キーワード | CagA / Helicobacter pylori / 酵母 / エンドサイトーシス / VacA / 胃疾患 / 持続感染 |
研究概要 |
ピロリ菌は病原関連エフェクタータンパクCagAを宿主細胞内に注入し、胃上皮系細胞に著しい形態変化を誘導することが知られてきた。CagAによる形態変化の誘導は、宿主細胞内情報伝達系の撹乱を反映しており、その分子メカニズムの解明はピロリ菌による習疾患発症機構の解明に直結すると思われる。我々は先に、CagAが酵母の生育阻害をおこすことを見出し、酵母遺伝子破壊株セットを用いてCagAの作用を抑制する遺伝子を検索した結果、得られた18遺伝子をうち8遺伝子がエンドサイトーシス経路構成蛋白質をコードしていたことから、CagAがエンドサイトーシス経路に関与する可能性が考えられた。そこで、野生型酵母のエンドサイトーシスを膜脂質蛍光プローブFM4-64で追跡したところ、GFPのみ発現酵母株に比べてGFP-CagA発現株では、FM4-64はCagAと共局在して細胞形質膜に留まりやすく、エンドサイトーシスの開始が阻害されていた。さらに、GFP-CagA発現またはGFPのみ発現させた胃上皮系AGS細胞において、蛍光ラベルしたエンドサイトーシスプローブまたは蛍光免疫染色によりエンドサイトーシスを追跡した。AGS細胞においてCagAは、FM4-64によって追跡された全体的なエンドサイトーシス活性は阻害せず、さらにクラスリン依存性エンドサイトーシスプローブであるトランスフェリンのエンドサイトーシスにも影響を与えなかった。一方で、コレラトキシンBで追跡したリピッドラフト依存性エンドサイトーシスは、CagA発現細胞において阻害されていた。さらには、CagAは宿主細胞へのVacAの取り込みを阻害し、細胞の空胞化を低減した。CagAによってピロリ菌自身が分泌するVacAから自身が定着する胃上皮細胞を保護するこの機構は、ピロリ菌の生育環境である胃上皮細胞を維持して持続感染に寄与すると考えられる。
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