研究概要 |
Western blotおよび免疫組織化学的解析から、ヒト正常肝、慢性肝炎、肝硬変と比較し、肝癌においてShcが増強していた。肝癌細胞において、極めて増強していたShcのアイソフォームは、Western blot解析から、p46Shc、p52Shcであり、その局在は免疫組織化学的解析から、細胞質、核であった。特に高分化肝癌と比較し中分化、未分化肝癌において、p46Shc、p52Shcは増強していた。また、Western blot解析から、癌細胞の核に存在するShcはp52Shcであり、細胞質に存在するShcはp52Shcであることを確認した。一方、免疫組織化学的検討から、肝癌細胞株、Alexander, Hep 3B, HLE, HLF, HuH-7, Li-7のうちHep 3B, HLF以外は、すべて肝癌細胞の核内にp52Shcは存在していた。なお、すべての肝癌細胞株の細胞質において、p46Shc、p52Shcは存在していた。胃癌細胞においても、Western blot解析から、正常胃粘膜と比較し、胃癌細胞内にShcの発現、亢進がみられた。その局在は、免疫組織化学的解析から、胃癌細胞の核,細胞質であり、癌細胞の核に存在するShcは、p46Shcが主体であり、細胞質に存在するShcの主体はp52Shcであった。核内に存在するp46Shcは高分化、中分化と比較し、未分化な胃癌細胞により強く発現していた(Int. J Onco1 26:661-671,2005)。このようにShcは、癌細胞においては、p46Shcもしくはp52Shcのいずれかのアイソフォームが核に存在しうることが判明し.その発現は肝癌細胞、胃癌細胞の分化度とも関連すると考えられた。
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