研究課題/領域番号 |
17590655
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
大西 三朗 高知大学, 医学部, 教授 (60136380)
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研究分担者 |
西原 利治 高知大学, 医学部, 助教授 (60145125)
秋澤 直明 高知大学, 医学部, 助手 (00322280)
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キーワード | PBC / 胆管炎 / 自己免疫 / 胸腺細胞 / 分化 / エストロゲン / 胸腺上皮細胞 |
研究概要 |
原発性胆汁性肝硬変は中年女性に好発する慢性肝疾患であり、高頻度に抗ミトコンドリア抗体をはじめとする自己抗体が検出されることから、発症には女性ホルモンの分泌低下を背景とする自己免疫機序の関与が想定されている。他方、エストロゲン欠損マウスでは、CD4+CD8+CD25+胸腺細胞の段階におけるTCRβhigh胸腺細胞への分化阻害が生じていることを我々は明らかにしてきた。そこで、我々はTCRβhigh胸腺細胞にB細胞の増殖を抑制する機能があることに着目し、TCRβhigh胸腺細胞の減少がB細胞の増殖抑制作用の減弱を介して自己免疫現象の持続に寄与している可能性を考えた。平成17年度には、内因性エストロゲン欠損マウスの脾臓および骨髄を調べ、予想通りB細胞の増殖が抗原非特異的に過度に生じていることが明らかになった。さらに、外因性エストロゲンの投与によりこれらの異常が抗原非特異的に軽減されることも確認した。そこで、平成18年度は、このモデルマウスにallogeneic mouseの脾細胞を移入して原発性胆汁性肝硬変モデルマウスを作成し、胆管病変および単核細胞浸潤の程度を検討したところ、健常マウスにa1logeneic mouseの脾細胞を移入した場合に比して、エストロゲン欠損状態ではその程度が高度化すること、並びに外因性エストロゲン投与により病態が改善することをin vivoにおいて明らかにできた。この成績は、原発性胆汁性肝硬変で胆管病変の進行が一部症例で中年以降加速される原因の1つとして、閉経後の血中のエストロゲン濃度が極めて低値になることを考慮する必要のあることを示している。
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