研究課題
これまで我々は、Gold-thioglucose(GTG)投与による過食・肥満をきたす動物モデルに注目し、NASH患者類似の病態を呈するNASH動物モデルの確立とその病態解析について研究を行ってきた。このGTG投与マウスの病態は、肝臓にNASH特有の線維化、炎症細胞浸潤などが顕著化してくる事、内臓肥満、皮下脂肪沈着の顕著化とともに血中レプチンやTNF-α値上昇とadiponectineの低下も認められ、多くのNASH患者と同様な病態であることが明らかになった。さらに、GTGのレセプターであるGPR7のノックアウトマウスを作成し、現在もその解析を継続中である。このノックアウトマウスは、恒常的に過食、肥満となるマウスであり、肝臓にもNASH特有の病態を呈することが判明した。現在このマウスを使って、NASH治療に効果がある薬剤の治療効果検討が進行中である。我々は近年、アンギオテンシンAT1レセプター阻害剤(ARB)がメチオニン-コリン欠乏食誘発NASH肝の線維化抑制、肝脂肪化抑制に対して効果があることを発表した。現在、ARBがGPR7ノックアウトマウスに対しても、線維化改善効果、肝脂肪化改善効果があるかどうかの検討を継続中である。さらに、NASHに対し治療効果が期待される薬剤候補として防風通聖散を考えている。この薬剤を使用することで、肥満、肝臓の脂肪化を来たしたGPR7ノックアウトマウスの脂肪体積率の減少効果、インスリン抵抗性の改善効果、そして、脂肪化、線維化を始めとしたNASH肝に対し治療効果があるデーターが出ている。近々、それらのデーターを発表できるものと考えている。
すべて 2007
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Journal of Hepatology 46
ページ: 915-920
Hepatology (In press)