研究概要 |
1.マウス実験腸炎における治療効果の検討 メチル化阻害剤(Aza-dC),脱アセチル化阻害剤(FK228)単独あるいは併用投与によるマウスDSS腸炎に対する治療効果を評価した.Balb/cマウスに3%DSSを4日間自由飲水させ,腸炎を惹起させた,メチル化阻害剤(Aza-dC)単独投与群,脱アセチル化阻害剤(FK228)単独投与群,両者の併用投与群,コントロール群の4群に分けて予防および治療効果の有無を検討した.その結果,Aza-dC単独投与群でむしろ腸炎が悪化する傾向を認めたが,併用群では統計学的に有意差を認めなかったがFK228群では予防および治療効果を認めた.次にマウスTNBS腸炎で検討したが,同様にFK228群でのみ有意な予防および治療効果を認めた. 2.in vivoにおける脱アセチル化阻害剤の抗炎症作用機序の解析 マウスTNBS腸炎における腸組織を用いた各種サイトカインプロファイルをELISAにより検討した.その結果,TNFα,IFN-γ,IL-6は濃度依存性にその発現が低下したが,一方,IL-10濃度には有意差が認められなかった.さらに,DSS腸炎モデルより粘膜固有層リンパ球(LPMC)を分離し抗アセチル化ピストン(H3)抗体を用いたウエスタンブロット法によって解析したところ,FK228濃度依存性にH3のアセチル化が検出された. 3.実験腸炎におけるエピジェネティクス異常の検討 今後,薬剤投与による遺伝子発現変化をcDNAアレイによって網羅的に解析し,主にそのサイレンシングが解除され発現が亢進する候補遺伝子のプロモーター領域のクロマチンリモデリング状態をチェックする予定である。
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