研究概要 |
1.肝内胆汁うっ滞症例の集積 これまでに5症例を集積した。平成18年度は協力施設からの症例も増加する予定で、何とか目標の50症例に到達したいと考えている。 2.トランスポーター活性の測定系樹立 本年度は極性を有するMDCKII細胞に胆汁酸を取り込むNtcp(Na^+/taurocholate cotransporting polypeptide)とBsep(bile salt export pump)を同時に遺伝子導入することにより、胆汁酸を方向性をもって輸送するシステムを構築した。Ntcpはbasolateral domain、Bsepはapical domainに局在することを免疫組織化学で確認した。Ntcpは胆汁酸のuptakeに、Bsepは胆汁酸の排出にそれぞれ必須であること明らかとなった。saturation curveから求めたKm, Vmaxは30.2μM,76.9pmol/mg of protein/minで、Ntcp, Bsepの機能を定量的に測定することが可能となった。臨床的に利胆作用のあることが知られているursodeoxycholic acid (UDCA)の作用機序を解析するため本システムにUDCAを添加し、Ntcp, Bsepに対する影響を検討した。その結果、UDCAはNtcpに影響を与えず、Bsepを活性化することにより胆汁分泌を促進することが明らかとなった。我々の開発した胆汁酸輸送システムは胆汁酸トランスポーターであるNtcp, Bsepの機能解析に有用で、本研究で明らかにする予定である肝内胆汁うっ滞症の原因遺伝子の機能解析のための基礎データになると考えられる。
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