研究概要 |
肝疾患のうち、臨床に直結しそうな問題にしぼり、SNP解析を進めた。具体的には、(1)C型肝炎の進展、およびインターフェロン+リバビリン併用療法の効果を規定するSNPとして、炎症性サイトカイン、線維化増殖因子、IFN receptor, IFN inducible geneなどのSNP検索をおこなった。結果、C型肝炎の線維化とTNF-β遺伝子のgenotypeとHLA-DRB1のhaplotypeが相関することを見出した。また、インターフェロン療法の無効群にTNF-β遺伝子のB2/B2保有率が有意に高かった。(2)NASHに関しては、TNF-α,TNF-β,adiponectinのSNPを検索し、NASHの発症とadiponectin intron 2276のSNPが相関し、線維化とTNF-α promoter region-1031のSNPが相関することを見出した。(3)劇症肝炎発症および予後に関与するSNPとして、TNF-α,TNF-β,IL-10のSNP解析をおこない、劇症肝炎患者では、TNF-βのgenotypeがB2/B2で、IL-10 promoter regionのhaplotypeがATA/ATAの人が有意に多く、これらの患者が急性肝炎になった場合、劇症肝炎になる可能性が高いことが示唆された。次年度は、さらに患者数を増やし、また関連するSNP siteを増やす予定である。
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