研究分担者 |
小森 敦正 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 先端技術研究部, ウイルス研究室 (50234901)
右田 清志 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 病因解析研究部, 病因解析研究部長 (60264214)
八橋 弘 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 治療研究部, 治療研究部長 (50360855)
石橋 大海 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 臨床研究センター長 (80127969)
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研究概要 |
核膜孔蛋白gp210抗原に対する自己抗体が、肝不全へ進行する原発性胆汁性肝硬変(PBC)の予後予測マーカーとして有用であることを明らかとし(Nakamura M et al.,J.Hepatol 2005,42;386-392)、その機序として、PBCにおける小葉間胆管細胞では、gp210抗原の発現が増加していることを見いだした(Nakamura M et al.,J.Antoimnunity 2006,26:138-145)。また、抗centromere抗体もPBCの進行マーカーとして有用であることが明らかとなった(Nakamura M et al.,in preparation)。これらの自己抗体(predictive autoantibodies)を測定することにより、PBCは進行・予後予測に基づき、gp210 type, centromere type、非gp210,centromere typeに分類できることを提唱した(Nakamura M et al.,in preparation)。 ヒト胆管培養細胞(HIBEC)を用いて、主にin vitroでTLRの発現、リガント刺激によるシグナル伝達経路、サイトカイン・ケモカインの分泌機構について解析をすすめた。HIBECはLPSなどの細菌成分の刺激によりTLR4-NF-kBと-MAPK経路を介して、IL-6,IL-8,MCP-1を分泌すること(Yokoyama et al.,International Liver 2006 in press)、ウイルスdsRNAの刺激によりTLR3-TRIF-IRF3経路とRIG-1-MAVS-IRF3経路を介してIFNbetaを産生することが判明した(Nakamura M et al.,in preparation)。 また、肝臓生検組織凍結バンクの標本を用いて、原発性胆汁性肝硬変の病初期では、病変局所のTLR-3-type1 IFN系が活性化していること(Takii Y et al.,Lab.Invest,2005,85:908-920)が判明し、自己免疫性胆管炎発症におけるTLR3の役割について注目して研究をすすめている。 来年度は、これらの結果を踏まえ、分子標的のさらなる探索、胆管・肝細胞障害機構の分子レベルでの解析を進める予定である。
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