研究課題
心肥大反応において、細胞内カルシウムの流入は重要なイベントであるが、そのカルシウム流入経路の分子実体については不明である。私達は、transient receptor potential (TRP) channelがそのカルシウム流入経路として働くという仮説を立てその検証を行った。本年度は、Dahl食塩感受性ラットや腹部大動脈結紮ラットなどの心肥大モデル動物を作製し、それらの心臓におけるtransient receptor potential (TRP) channelの発現状況についてRT-PCR法、 Western Blot法を用い検討を行った。その結果、私達は肥大心筋においてTRPC1チャネルの発現亢進が起こっていることを明らかにした。さらに、TRPC1チャネルの発現亢進の病態生理学的意義やそのメカニズムを探求するため、新生仔ラットの初代培養心筋細胞の培養系を確立し更なる検討を行った。エンドセリン刺激によって肥大化した培養心筋細胞においてもTRPC1チャネルの発現は増加しており、それと同時にストア作動性カルシウム流入も増加しているという新事実を明らかにした。また、特異的なTRPC1チャネルブロッカーやsiRNAによりエンドセリンの肥大反応が抑制されたことから、心肥大反応においてTRPC1チャネルは増加し、カルシウム流入経路として働くことにより肥大反応に寄与していることが示唆された。また、TRPC1と同様TRPスーパーファミリーに属するTRPPサブファミリーについても、その機能解析を行いその一部を別紙のごとくJournal of Biological Chemistryに発表した。
すべて 2005
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J.Biol.Chem 280(7)
ページ: 5626-5635