高血圧とインスリン抵抗性は、動脈硬化危険因子の重積する病態の基礎にある。L型カルシウムチャネルブロッカー(CCB)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は、心血管病発症の抑制に有用である。 肥満糖尿病ラットOLETFと正常対照のLETOラットで、CCBのazelnidipineがレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の構成因子mRNAに対する影響を検討した。30週齢OLETFとLETOに、azelnidipineを2週間投与した(各群15匹)。OLETFの腎皮質と外髄質のアンジオテンシン変換酵素(ACE)のmRNAは、LETOより減少していたが、azelnidipineにより、さらに減少した。OLETFの腎皮質ミネラルコルチコイド受容体(MCR)mRNAは、LETOよりも上昇していたが、azelnidipineにより減少した。腎皮質のangiotensin type I受容体mRNAはOLETFとLETOで差はなく、azelnidipine投与でも変化しなかった。 次に、未治療であるか3ヶ月以内にARB及びACEが投与されていない高血圧患者46例を対象に、ARBであるバルサルタン40〜160mg/日の24週間投与前後で脈波伝播速度を測定した。バルサルタンの投与24週間により、血圧は155±2/90±2mmHgから140±3/82±2mmHgに、脈波伝播速度は1853±49cm/sから1682±52cm/sに有意に低下した。 臓器保護効果は、降圧作用とRAAS抑制によると考えられる。ACEとMCRのmRNAに対するazelnidipineの抑制作用は、糖尿病合併高血圧において、azelnidipineが降圧作用以上の臓器保護効果を示すことが期待させた。バルサルタンは、降圧とともに脈波伝播速度を良好に低下させ、長期的な血管保護に作用することが期待された。
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