研究課題/領域番号 |
17590713
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
池主 雅臣 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (40303151)
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研究分担者 |
古嶋 博司 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (10377161)
田辺 靖貴 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30419311)
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キーワード | 心室細動 / 交感神経 / 迷走神経 / 心筋M細胞 |
研究概要 |
重症不整脈の実験モデルを心室貫壁性にマッピングして、自律神経興奮の修飾による催不整脈作用と抗不整脈作用の発現について検討し以下の知見を得た。 〔1〕心室細動の発症には心室内での伝導障害(伝導ブロックと伝導遅延)が重要であるが、心室再分極持続時間が延長して伝導障壁のピークが形成される領域は、心拍数の変動や薬剤用量の増減に関らずほぼ一定の部位に認められ、特異な電気生理学的特徴を有する心筋領域(M細胞領域)が存在すると考えられた。M細胞の特徴を有する領域は左心室に顕著であった。右心室でも類似の所見が観察されたが、その程度と範囲は軽度であった。 〔2〕QT延長症候群モデル(type3)に対する交感神経緊張の役割は2相性の反応を示した。すなわち弱い刺激(少量エピネフリンや低電圧星状神経節刺激)は心室再分極分布の不均一性を是正して抗不整脈効果を示したが、中等度以上の刺激ではtrigger beatsから心室細動が誘発された。β遮断薬は交感神経刺激の催不整脈効果を部分的に抑制したが、ペースラインでの不整脈源性は亢進した。 〔3〕マグネシウムはtrigger beatsの抑制と心室内不応期分布の不均一性を改善して心室細動発症を抑制した。マグネシウムの抗不整脈効果は薬理学的自律神経遮断の前後で同等に認められた。マグネシウムの抗不整脈効果は血圧変動による自律神経興奮の修飾を介すものではなく、薬剤本来の薬理作用によると考えられた。 〔4〕迷走神経興奮によって心房細動の易誘発性と持続時間延長が認められた。迷走神経興奮に関連した心房細動はジゾピラミドで高率に抑制され、これは同薬の抗コリン作用によると考えられた。抗不整脈薬治療による心臓内の自律神経興奮修飾は、心拍変動のスペクトル解析から推定できると考えられた。
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