研究課題
重症不整脈の実験モデルを心室貫壁性にマッピングして、自律神経興奮が抗不整脈効果と催不整脈作用にいかに関わるかを検討した。以下に主な知見を示す。〔1〕多形性心室頻拍を生じるQT延長モデルにおいて、心室内に生じる不応期の障壁の大きさは薬剤用量に依存したが障壁のピークの位置は一定しており、不整脈基盤の形成にはM細胞特性を有する心筋細胞の分布が重要であることが示された。〔2〕Ikrチャネルブロッカーとanthopleurin-Aは、心室M細胞層の活動電位をより延長させることで再分極分布の不均一性を増大させた。この状態で交感神経緊張を急速に亢進させると期外収縮が生じ、興奮の伝導障害(伝導ブロックと伝導遅延)から心室細動が発症した。マルチチャネルブロッカーのベプリジルは不応期分布の不均一性を増大させたが、交感神経緊張による期外収縮を抑制して心室細動を減少させた。〔3〕ベプリジルとE4031で心拍変動による心室再分極時間の変化を比較した。ARImaxとCL50はE4031がより大きく、ベプリジルの逆頻度依存特性はE4031よりも弱いと考えられた。〔4〕マグネシウムの抗不整脈効果をアトロピンとβ遮断薬による自律神経遮断前後で比較した。マグネシウムは自律神経遮断の有無に関わらす、心室内不応期分布の不均一性を改善してトリガー興奮も抑制した。これらの効果は多形性心室頻拍に対するマグネシウムの治療効果に関連すると考えられた。〔5〕ベプリジルは迷走神経緊張による心房活動電位の短縮を減弱させて、迷走神経緊張誘発性の心房細動を抑制した。この抑制効果は抗コリン作用を有するジゾピラミドよりも弱かった。各種抗不整脈薬による自律神経興奮の修飾は、体表面心電図の心拍変動をスペクトル解析することから推定できた。
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