研究分担者 |
加藤 秀樹 浜松医科大学, 医学部, 助手 (80314029)
寺田 肇 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50252177)
漆田 毅 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20334980)
渡邊 泰秀 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50305380)
林 秀晴 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50135258)
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研究概要 |
心不全における心臓の収縮・拡張機能障害の原因として、心筋細胞のCa^<2+>代謝の異常が提唱されている。不全心筋では、(1)SR Ca^<2+> ATPase (SERCA)によるCa^<2+>取込みの低下、(2)SR Ca^<2+>放出channelからのFK506-binding protein (FKBP)の解離によるCa^<2+>漏出の増加、及び(3)Na^+/Ca^<2+>交換を介するCa^<2+>排出の代償的増加が示されている。最近、SERCAの活性化薬であるMCC-135が心筋の収縮・拡張能を改善すること(Satoh,2001)が報告された。また、Na^+/Ca^<2+>交換の不完全抑制が心不全細胞のCa^<2+>代謝を改善すること(Hobai,2004)も報告され、最近のKB-R7943,SEA0400,SN-6など、Na^+/Ca^<2+>交換に特異的な阻害薬の開発とあわせて、心不全治療への応用が期待される。 平成17年度は、正常ラット心筋細胞において、SERCA活性化薬であるMCC-135の細胞内Ca^<2+> transientと収縮に及ぼす効果を検討したが、残念ながら期待した陽性変力作用は認められなかった。一方、SN-6はモルモット心筋細胞において特異的にNa^+/Ca^<2+>交換のCa^<2+>流入モードを阻害して、Ca^<2+>過負荷の予防に有用であることが示された。また、他のNa^+/Ca^<2+>交換阻害薬であるSEA0400は、ラット虚血/再灌流心において、収縮力、エネルギー代謝の回復を促進させる効果が認められた。MCC-135にかわる治療として、最近、蛋白脱リン酸化酵素の阻害薬であるInhibitor-I,Inhibitor-IIがSERCAにおけるphospholambanのリン酸化を介してSR Ca^<2+>取り込みを選択的に活性化することが報告されている。平成18年度は、細胞のCa^<2+>代謝におけるinhibitor-IとSN-6、SEA0400の効果を検討する。続いて、Dahl ratをもちいて肥大/不全心モデルを作成し、これらの薬剤が、単離心筋細胞のCa^<2+>transientと収縮に対する効果、また灌流心の収縮と高エネルギーリン酸化合物に対する効果を検討する予定である。
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