研究課題/領域番号 |
17590719
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
成 憲武 名古屋大学, 医学部, 助手 (30378228)
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研究分担者 |
葛谷 雅文 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10283441)
永田 浩三 名古屋大学, 医学部, 助教授 (20378227)
近藤 隆久 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00303644)
井口 昭久 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20109763)
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キーワード | 心筋リモデリング / 蛋白質分解酵素-カテプシンS / 高血圧 / 心不全 / 心筋細胞 |
研究概要 |
心筋細胞及び心筋線維芽細胞から分泌される種々の蛋白分解酵素の中、Serine Protease(SP)とMatrix Metalloproteinases(MMPs)が心筋リモデリングに重要な役割を果たすことが指摘されている。しかし、近年の動物実験や臨床試験の結果、それらを阻害するだけでは心筋肥大及び心筋線維化を充分抑制できず、また充分な心機能改善効果も得られないことが明らかにされてきた。これらの結果から、我々はSPならびMMPs以外の蛋白分解酵素が心筋リモデリングに関与している可能性を推測した。 Cysteine proteases[特にCathepsin(カテプシン)ファミリー]は、種々の蛋白のscavengerとして機能し、酸性環境下でライソゾームにおいて働く蛋白分解酵素として認識されてきた。しかし、近年これらの一部は細胞外に分泌され、種種の疾患への関与が指摘されている。特に、Cathepsin Sは他のCysteine Proteaseと異なり、細胞外の中性(pH7.4)環境下でも機能し、しかも強力なコラーゲンとエラスチン分解活性を持つことなどが明らかにされてきている。最近、我々とShi教授(米国ハーバード大学医学部)らの共同研究によりCathepsin SとKの血管平滑筋細胞における局在及び血管リモデリングへの関与が明らかになった。さらに、我々は、Cathepsin Sの血管新生への関与も明らかにした。しかしながら、このように種々の組織リモデリングにおいて重要な役割を果たすCathepsin Sであるが、心臓における分子病態生理学的役割に関しては、心筋細胞での発現さえ不明であるばかりか、心筋リモデリングに関与するか否かに関しても全く不明である。我々は、最近当該申請研究課題についてスタディを行ったところ、心筋細胞、肥大期ならび不全期心筋(ラット及びヒト心筋biopsyサンプル)でそれらの発現が観察された。更に、心筋細胞におけるCathepsin SならびKの発現及びその制御機構を明らかにし、心筋リモデリングにおける新たな蛋白分解酵素であるCathepsinの役割及びその機構を明らかにした。これらの結果を論文に纏めてCirculationに投稿中である。それ以外も、ARBの一種であるOlmesardanのカテシンSを介しての心不全抑制機序を明らかにし、論文を作成中である。
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