研究課題
近年、システイン・プロテアーゼカテプシンSとKの組織病理学的リモデリングヘの種々の関与が指摘されている。特に、最近の研究により、高血圧性心不全心筋におけるカテプシンSとKの発現増加が報告された。しかし、高血圧性心筋リモデリングプロセスにおけるカテプシンの役割及びその機序に関して不明である。そこで、我々は食塩感受性Dah1-ラットの肥大期(12週目)より選択的カテプシン合成阻害剤(腹内)とアンギオテンシン受容体ブロッカーオルメサルタン(経口)を投与し、19週目に心エコとカーテーを行い、左心室組織のサンプリングを行なった。その結果、カテプシンSとKのmRANと蛋白は不全期心筋細胞・カテプシンSは心筋内冠動脈平滑筋細胞で高発現し、オルメサルタンの投与により著明低下した。組織学検討と同様に、不全期心筋でのエラスターゼ活性は対照群より4倍以上増加し、オルメサルタンより著明に低下した。同時に、オルメサルタンは炎症性細胞マクロファージーの浸潤、炎症性サイトカインIL-1βの発現、NADPH oxidase活性やそのサブユーニットの蛋白発現を抑制した。さらに、オルメサルタンは心筋エラスチンの低下を抑制し、エラスチンとコラーゲンのアンバランスを訂正し、左心室収縮と拡張機能低下を改善させた。これらの効果は、カテプシン阻害剤投与群でも観察された。生体外実験で、抗酸化剤は培養心筋細胞、平滑筋細胞やマクロファージーにおけるH202の刺激によるカテプシンSの発現及び活性の増加を抑制した。以上より、カテプシンSとKは高血圧性心筋リモデリングの引き金であり、オルメサルタンによる心筋リモデリング及び心機能低下抑制は、酸化ストレスや炎症性サイトカイン発現抑制を介してのカテプシン発現と活性抑制によることだと考えられる。
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