研究課題/領域番号 |
17590726
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
松本 鉄也 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (70273406)
|
研究分担者 |
裏出 良博 大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究部長 (10201360)
江口 豊 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00263054)
堀江 稔 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90183938)
|
キーワード | coronary / prostagiandin / atheroscierosis / artery |
研究概要 |
血管拡張や血小板凝集抑制などの作用を有するプロスタグランジンD2を合成するリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素(L-PGDS)は冠動脈硬化巣において産生される。そこで、冠動脈疾患の血管機能におけるPGD2/L-PGDS系の意義と血清L-PGDS濃度測定の有用性について検討した。心臓カテーテル検査施行の患者を対象に、血清L-PGDS濃度の測定し、冠血管機能の検討を行なった。冠動脈造影検査上、有意狭窄を認めない狭心症患者96名にアセチルコリン負荷試験を行ない、定量的冠動脈造影法とドプラーガイドワイヤーによる冠血流速度の測定から冠血管機能を評価した。血清L-PGDS濃度は非冠攣縮群(63.9±2.5μg/dL)に較べて冠攣縮群(77.1±4.4μg/dL)において有意に高値であった(p<0.01)。血清L-PGDS濃度の規定因子は冠攣縮と喫煙の有無であった。冠攣縮群において血清L-PGDS濃度はアセチルコリン(3,10,30μg)の冠血管収縮作用と有意に相関したが(各p<0.01)、内皮非依存性血管拡張剤であるニトログリセリンの血管作用とは相関しなかった。血清L-PGDS濃度はアセチルコリンやパパベリンの冠血流増加作用とも相関を認めなかった。従って、L-PGDSは太い冠動脈の攣縮に重要な役割を果たし、血清L-PGDS濃度は冠攣縮性狭心症の診断や疾患の活動性の指標として有用である可能性が示唆された。
|