研究概要 |
我々が最近NRSFの心不全の病態形成における意義を検討する目的で作成した優勢劣勢変異型NRSF Tgマウス(以下、dnNRSF)は表現型として心拡大・心不全を示す心不全モデルマウスとなった。dnNRSFではANP,BNPの遺伝子発現が亢進しているが、ナトリウム利尿ペプチドの心筋梗塞後の心筋リモデリングにおける意義についてはすでに論文に発表しているところである。このdnNRSFは生後40週までにその多くが死亡するが、その死因に致死性心室性不整脈が関与する場合が多いことが連続心電図モニターで推測され、電気生理学的検査(EPS)の結果でも心室性不整脈の易誘発性が明らかに高いことが明らかになったが、同時にこのマウスでは心筋組織所見の特徴として、間質の線維化と心筋線維の配列の乱れ、ミトコンドリアの大小不同などの変性所見がみられており、心筋細胞におけるエネルギー代謝の障害がこのモデルマウスの心不全発症に関与している可能性がある。現在、エネルギー代謝に関連する酵素であるLipoprotein lipase(LPL),CD36/fatty acid transporter(FAT), fatty acid transport protein 1(FATP1), fatty acyl-CoA synthetase(FACS),糖の参加に関連するpyruvate dehydrogenase kinase 4(PDK4),glucose transporter(GLUT)4,ミトコンドリアにおけるβ酸化に関連するmedium-chain acyl-CoA dehydrogenase(MCAD),LCAD,VLCAD,M-CPTI(CPTβ),ACO,MCD,さらにuncoupling protein(UCP)2,UCP3,などについてそれぞれの遺伝子発現についてQuantitative RT-PCR法を用いた定量評価を検討中である。
|