研究概要 |
本年度は、申請者らが既に集積している遺伝子バンクを用いて既知の心筋梗塞関連遺伝子多型と予後との関連解析を行い、予後関連候補遺伝子を抽出する作業を行った。これまでに約600サンプルを対象として150程度の動脈硬化関連遺伝子多型をスクリーニングし、二次スクリーニングの候補となる遺伝子多型を抽出する予備解析が終了した。この結果を基に、多型の頻度が極端に少ないなど、疫学的なリスク同定に適さないと判断されたものを除くとともに、新規の候補遺伝子を併せ、最終的に9遺伝子多型(Hepatic lipase, Interleukin-4 receptor alpha, Interleukin-18,Lymphotoxin alpha, Platelet Activator Inhibitor-I, EPHX, Tumor Growth Factor-beta, Thrombopoietinおよびvon Willebrand factor)について多数サンプル(約2000検体)における解析を行った。 同定された各遺伝子多型について、その頻度・機能的意義・冠動脈疾患との関連を検索した。さらに、申請者らがあわせて集積している心筋梗塞予後情報と得られた遺伝子情報を連結し、χ2乗検定・Kaplan-Meier法ならびにlog-rank test、さらにCox regression analysisなどの統計学的手法を用いて予後あるいは心血管イベントとの関連を評価した。結果、Lymphotoxin alpha A252G遺伝子多型が従来の冠危険因子とは独立して予後と関連することが明らかとなった。
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